往路だけの航路 ―アマンの話―

西方へ思いを馳せる ひとりごと

ここで小休止。少し趣向を変えてみる。

これまでエルフの話もしたし、中つ国を去ったホビットのことも話した。

となれば、気になるのは、アマンのこと。

「不死の国」とも「西方」とも称されるその場所は、幸福に満ちた世界と言われている。

悪の脅威から清められ、中つ国とも隔絶された世界。

しかし、かつては中つ国と同じ星の中にあった。

もとはヴァラールの住まう場所である。

彼らがメルコールによるアルダの破壊によって、中つ国から逃げた場所とも言える。

そこに、中つ国で生まれたエルフを、彼らが救い出す形で移住させた。

故に、エルフの故郷であるアマンは、実のところ「第2の故郷」と言うのが適切な気もする。

とはいえ、この地で生まれたエルフも数多い。かのフェアノールもその1人だ。

そして少なくとも、メルコールがいない間は、本当に幸福だったのだろう。

メルコールの行いは、それほどに、アマンに多くの影を残した。

幾年月を超え、いつしか星の外に飛び出してしまったアマンは、中つ国に住むエルフも容易には帰れない場所となった。

キアダンの操縦する一隻の船だけが、唯一中つ国とアマンを結ぶ航路となる。

その船に乗ることがもし叶うなら、私も乗って、至福の地をこの目で見てみたいものだ。

とはいえ、一度行ってしまえば戻ることは許されない航路。往路はあっても復路はない。

それを考えると、たとえアマンに行く手段があったとしても、行くかどうかは別の話だ。

帰れない場所ほど、人の心を強く縛るものはないのだから。

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