考察

考察

白が灰に変わる時

白は淀みない色。汚れなき、澄んだ色。それを帯びていたサルマンは、中つ国を見守る”イスタリ”の一人だった。そして、イスタリの誰よりも強く、賢明で、ガンダルフにとっては良き相談相手だった。もともとマイアだった彼は、イスタリとして中つ国に派遣され...
考察

手放した先にあるもの

様々なものに執着を抱くことは、時として己を明るい未来へと導き、また時として己を破滅に導く。そうした執着を手に入れては手放していくことで、人生は進んでいくもののようにみえる。おそらく、ビルボはそうだったと思う。彼自身は若い頃、自分の穏やかな暮...
考察

父の影に生きた者

クルフィンはその名の通り、父フェアノールによく似ていた。それは容姿だけでなく、性質も。故に、父親と同様、その末路は悲しいものだった。だが、彼が父のような何かを作成したかについて、 『シルマリルの物語』上で具体的には語られていない。彼自身も父...
考察

彼が取り戻したかったもの

もし、あの悲劇がなかったなら。マエズロスは、どんな未来を見ていただろうか。赤い髪は母譲り、そして冷静に物事を見極めるのもまた母譲り、かもしれない。では、マエズロスが父に似たのはどこなのか。おそらく、その豪胆さにあるだろう。そして何より、彼も...
考察

ひとつであった二つの影

最初に指輪の虜になった中つ国の民は、人間の王イシルドゥア。しかし、彼が襲われた際に、指輪は川底に落ち、長い年月を経てあるところにたどり着いた。それが、スメアゴルというホビットの手だった。やがて、指輪の力で長い年月を生き延びた彼は醜い姿になり...
考察

閉ざされた王 ― スランドゥイルという父

心のままにあることは、実に素晴らしいことである。自分の心を大切にすることは、時に苦しみを伴うことがあっても、人生に彩りを与えてくれる。しかし、それは振り切りすぎれば、時として孤独を招くこともある。その姿を思い起こさせる人物がいる。闇の森の王...
考察

心のままにある緑葉の祖先

緑葉ことレゴラスの衝動的な姿勢は、過酷な旅において欠かせない要素だった。しかし、衝動性が高いエルフは彼だけではない。私の大好きなフェアノールも、彼の異母弟 フィンゴルフィンもそうと言える。だが、もう一人、この人物もそうではないだろうか。それ...
考察

王子様は考えるより行動派?

そもそも、私が語り部になったら絶対に語りたい人物がいた。それは、闇の森の王の息子で、旅の仲間としてフロドを支えた者の一人。彼の名はレゴラス。緑葉の名に相応しいしなやかな身のこなしと美しさは、映画を見た私を虜にした。そう、彼が指輪物語の世界に...
考察

戦乙女の中に見る、本当の戦い方

彼女がもし男であったなら戦乙女エオウィンを前にすると、そんな時代錯誤のような言葉が浮かんでしまう。もっと正当に自分の力を認められ、自由に剣を振るえたのではないのか。とはいえ、彼女は何に怯え、何を欲していたのだろう。ただの安らぎだったのか、そ...
考察

平凡なる人間の非凡な才能 ―特別でないという強さ

さて、前回、トールキン世界の人間の弱さを語ったが、何故彼らが生き残り続けたのかを問うた。その秘密については現実の地球の歴史を辿ると、見えてくるものがある。今の地球は、人間を含めた哺乳類が生態系の多くを占めている。しかし、かつては“恐竜”と呼...