語り部のしゆう

ひとりごと

影に隠れた英雄② 自らの良心を貫いた者

エオメルは武勇に長けた、物語の重要人物だった。だが、彼以外にも、隣にいる者の威光が強すぎるあまり、存在を忘れがちな者がいる。彼の名はファラミア。後にイシリアンの領主となり、ゴンドールの平和を支える者となる。しかし、彼は父デネソールにあまり期...
ひとりごと

影に隠れた英雄① 失われたものを受け継いだ者

私は彼らのことも忘れてはいない。とはいえ、片方があまりに印象が強すぎて、つい後回しになってしまう。だが、そろそろ彼らのことも語らなければと思った。後に、ローハンの王となるエオメルは、セオデン王からの信頼も厚く、武勇の面では類い稀なる力の持ち...
考察

白が灰に変わる時

白は淀みない色。汚れなき、澄んだ色。それを帯びていたサルマンは、中つ国を見守る”イスタリ”の一人だった。そして、イスタリの誰よりも強く、賢明で、ガンダルフにとっては良き相談相手だった。もともとマイアだった彼は、イスタリとして中つ国に派遣され...
考察

手放した先にあるもの

様々なものに執着を抱くことは、時として己を明るい未来へと導き、また時として己を破滅に導く。そうした執着を手に入れては手放していくことで、人生は進んでいくもののようにみえる。おそらく、ビルボはそうだったと思う。彼自身は若い頃、自分の穏やかな暮...
考察

父の影に生きた者

クルフィンはその名の通り、父フェアノールによく似ていた。それは容姿だけでなく、性質も。故に、父親と同様、その末路は悲しいものだった。だが、彼が父のような何かを作成したかについて、 『シルマリルの物語』上で具体的には語られていない。彼自身も父...
深淵を語る

炎を抱えながら“世界”で生きること

フェアノールやメルコールは、自らの炎を燃やすことに全てをかけた。その結果、社会に属するものとしての立場は失った。果たして、それを良しとするか否か。それは、その人次第だと思う。社会に属して生きるかどうか、それを選ぶ権利は誰にでもあるのではない...
深淵を語る

実は似たもの同士?

メルコールについて多く語るのは、私がトールキン世界において最も気にかけている人物の一人だからだ。だが、もう一人忘れてはならない人物がいる。私が最も敬愛し、思いを汲み取りたいと願う人物。そう、フェアノールである。私が彼らをここまで気にかけるの...
考察

彼が取り戻したかったもの

もし、あの悲劇がなかったなら。マエズロスは、どんな未来を見ていただろうか。赤い髪は母譲り、そして冷静に物事を見極めるのもまた母譲り、かもしれない。では、マエズロスが父に似たのはどこなのか。おそらく、その豪胆さにあるだろう。そして何より、彼も...
深淵を語る

善と悪の境界を考える

それは、永遠の謎、もしくは悩みと言っても過言ではない。それは正義かそうでないかと似たようなものである。人によって正義の定義は変わる。それは、善悪の区別も同じだと思う。それを考えるにあたって取り上げるのは、やはりメルコールの存在だ。彼こそ“悪...
深淵を語る

あえて“メルコール”と呼ぶ理由

彼はいつしか本来の名で呼ばれなくなった。作中でも、それ以前と以後ではまったく捉え方が変わってしまう。力にて立つ者、は、黒き敵、となった。モルゴスの名は、フェアノールが付けた。シルマリルを奪われたことの憎しみが、どれほど強かったかを想像させら...