フェアノールの話を語り出すと止まらなくなる。
特筆すべきは、彼の性格。それを端的に表している一節がある。
目的とするものがあれば、何であれ、断固として熱心にこれを追求した。
『シルマリルの物語』「フェアノールと鎖から解き放たれたメルコールのこと」より
興味関心が向けば、誰が何と言おうと、それに向かって突き進む。
これは彼の喜ばしい性質と言える。私もできることならこうしたい。
とはいえ、この性質は時に彼の行動に影を落とした。
1つは、異母弟フィンゴルフィンとの対立だ。
メルコールの虚言に騙されたとはいえ、根も葉もない噂話に興味を持ち、そのとおりだと受け取ると、次第にフィンゴルフィンへの不信感を募らせる。
やがてそれは形になって表れた。
彼は疑念を抱いたとき、それを疑念のまま留めておくことができなかった。
父フィンウェが設けた調停の場で、フェアノールはフィンゴルフィンに剣の切っ先を向けたのである。
当然これはヴァラールによって裁かれることになった。
そしてなにより忘れてはならないのは、彼の立てた恐ろしい誓言のことである。
ヴァラールだろうとエルフだろうと、まだ生まれてもいない人間であろうと、シルマリルを奪う者は何人足りとて許さず、憎しみを持って追い続けるというものだ。
それほどに自分の作った作品に心酔していたのだろうが、私自身も少し震え上がった。
神格に近い存在をも憎悪の対象とするのはいかがなものかと。
この私でさえ、神に縋り、時に祈りを捧げるというのに。
彼はシルマリルを息子達以外には見せもしなかったというから、誰かが盗むとあれば怒りに狂うのも無理はないとも思う。
だがしかし、彼の異常とも言うべき“執着”は、果たして生まれ落ちたその瞬間からあったものだろうか。
生まれてすぐから、何かに突き進む情熱があっただろうか。
これに関して、私はあったとは思うが、これほど大きなものだったかどうかは、断定できない。
彼の生まれの悲劇を思えば、その生来の性質もさらに強くなるのではないだろうか。
いずれにしても、彼の生い立ち、特に父親や母親との関係については、深く語る必要があると思う。
それによって、彼のこれまでの人生も、家族との関わり方も、何か変わったはずなのだから。



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