少しだけみすぼらしくありながら、穢れのない心で居続けたイスタリ。
彼の名はガンダルフ。アマンではオローリンと呼ばれた。
中つ国に降り立った彼の姿は、灰色に身を包み、髪も髭もボサボサだった。
そんな彼はバルログとの死闘の末、地に横たわった。
だが、息を吹き返した。そして彼は灰ではない別の役割を得た。
一点の曇りもない白 ―守る者ではなく、正す者に。
そこにはかつてのみすぼらしさはなかった。
灰色は白と黒の配合で生まれる。
白でもあり黒でもある。そして、実はどちらでもない。
世の中は、白か黒かで全てを決めようとする。
しかし、そうではないものや人達もたくさんいる。
ガンダルフはまさにその象徴と言えよう。
さらに言えば、灰色は白か黒か、いずれかの色を抜くことでいずれかの色になる。
もしくは、いずれかの色を足してもいずれかの色になる。
ガンダルフはどうだったのか。
彼は単純に色が足されたわけでも引かれたわけでもない。
中つ国での役割が継承されて、白が綺麗に浮かび上がるようになったのだろう。
バルログとの死闘は、それを浮かび上がらせるきっかけになったのだ。
私自身も白黒はっきり付けたがる傾向がある。
しかし、どちらにも属さないことは、あらゆる可能性を広げる。
ガンダルフはそれを教えてくれる。
今もどこかでそっと見守ってくれている気がして、ふっと心が軽くなるのだ。


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