語り部のしゆう

考察

平凡なる人間の非凡な才能 ―劣って見える種族について

人間とは、どうしてここまで発達することが出来たのだろう。これは現実に即した話になるかもしれないが、決してトールキン世界においても無関係ではない。「人間」は、アルダの歴史の中で2番目に生まれた「イルーヴァタールの子ら」である。しかし、その実態...
ひとりごと

往路だけの航路 ―アマンの話―

ここで小休止。少し趣向を変えてみる。これまでエルフの話もしたし、中つ国を去ったホビットのことも話した。となれば、気になるのは、アマンのこと。「不死の国」とも「西方」とも称されるその場所は、幸福に満ちた世界と言われている。悪の脅威から清められ...
深淵を語る

母を亡くした悲しみ、父を喪った憤り

フェアノールは両親を“うしなった”。母ミーリエルは、彼が生まれてまもなく、いわゆる産褥病で亡くなった。※産褥(さんじょく)とは、出産前後の時期のことを指し、この頃の母親は病みやすいと言われている。もとより、この時代のエルフは死に至ることのな...
深淵を語る

彼の炎は、いつから燃えていたのか

フェアノールの話を語り出すと止まらなくなる。特筆すべきは、彼の性格。それを端的に表している一節がある。目的とするものがあれば、何であれ、断固として熱心にこれを追求した。『シルマリルの物語』「フェアノールと鎖から解き放たれたメルコールのこと」...
深淵を語る

どうしても“彼”を救いたい私

人生においてこれほどに私の心を動かす者はいない。それは以前少しだけ語った。なぜ“彼”は私の心を動かしたのか。それは、“彼”があまりに傲慢だったからでも、非情な者だったからでもない。むしろ、私は、“彼”にはある種の哀れみを抱いているのだ。“彼...
考察

英雄になろうとしなかった庭師の話

フロドの話があるなら、必ず彼のことも思い出す。いや思い出さなければならない。フロドの庭師、サムワイズ・ギャムジー。彼こそが「指輪物語」の主役、英雄と言っても過言ではないと言い切る人達もいる。そう思わざるを得ないのは、彼の勇敢さと、ひたむきに...
考察

指輪を背負ったフロドは、英雄ではなかった

ゴンドールに迎えられた彼は、エレスサール王をはじめとした多くの人間から、“英雄”と讃えられた。大いなる使命を負い、それを“成し遂げた”者として。そう、捉えた人も多いはず。だが、彼は、フロド・バギンズは、そんな大それた人物ではない。むしろ、ご...
考察

王であろうとしたドワーフ

彼を初めて見たとき、私は「不器用なほどまっすぐな人だ」と思った。無骨で、言葉足らずで、それでも確かな正義感を持ったドワーフの王。だが物語が進むにつれて、その印象は少しずつ揺らいでいった。彼は変わってしまったのか。それとも、最初からそこにあっ...
ひとりごと

軽やかに生きる、あのドワーフのこと

そろそろあのドワーフのことを語りたくなってきた。“ドワーフ”と聞くと、誇り高く頑固で、他者に心を開かない――そんな印象を持たれがちだ。頑固には違いない。あのギムリもそうだから。旅の終わりに、絶対に燦光洞(アグラロンド)を訪れたいと言って聞か...
ひとりごと

レンバスの味はどんな味?

エルフの話が続くが、今日は少し軽いところから語りたい。その一つとして、忘れてはならないのは、彼らが作る食糧の一つ「レンバス」だ。「指輪物語」にはこう記してある。食べものの大部分が非常に薄い焼き菓子の形をしていて、それは外側がうすいとび色に焼...