平凡なる人間の非凡な才能 ―特別でないという強さ

立ち向かう人々ーエレスサール王とともに 考察

さて、前回、トールキン世界の人間の弱さを語ったが、何故彼らが生き残り続けたのかを問うた。

その秘密については現実の地球の歴史を辿ると、見えてくるものがある。

今の地球は、人間を含めた哺乳類が生態系の多くを占めている。

しかし、かつては“恐竜”と呼ばれるものが闊歩していた。隕石が衝突するまでは。

とはいえ、その後もしばらく、哺乳類たちは他の種の動物の餌食となる存在だった。

それが何故、今はこれほどまでの強者になったのか。

それは、哺乳類が、「取り立てて変わったところがなかった」ことにあるという。

いい例としてワニを挙げる。ワニは太古の昔、地上で暮らしていたが、水辺での生活に適応するためあの体に「特殊化」したのだ。

しかし、その代わりに、水辺以外では生息できなくなった。結果、個体数は哺乳類に比べて少ない。

つまり、「特殊化」すると、あらゆる環境に適応できず、場合によっては絶滅してしまう。

反対に特殊化せず、汎用な姿でいた哺乳類は、その後如何様にも姿を変え、環境を変え、大きく繁栄していったのだ。

さて、話を元に戻すと、トールキン世界における人間と他の種族にも同じことが言えないだろうか?

エルフはまさに神に近き存在、特殊化の最たるものと言ってもいい。

ホビットやドワーフも、その暮らしに適応するために背を低くしたり、足に毛を生やしたりした。

このような「特殊」な特徴は人間にはない。

しかし、「特殊」でなかったからこそ、他の種族と違い、様々な環境に適応するよう知恵を振り絞り、多くの困難に立ち向かえたのではないか。

「取り立てて変わったところがない」

これは決して劣っているという意味ではない。

平凡故の非凡な才能なのだろう。

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