エオメルは武勇に長けた、物語の重要人物だった。
だが、彼以外にも、隣にいる者の威光が強すぎるあまり、存在を忘れがちな者がいる。
彼の名はファラミア。
後にイシリアンの領主となり、ゴンドールの平和を支える者となる。
しかし、彼は父デネソールにあまり期待されていなかった。
父がその愛情を注ぎ、後の後継者として目をかけていたのは、ファラミアの兄ボロミアだった。
ボロミアはその勇猛果敢な性格で敵を圧倒し、ゴンドールの平穏を守っていた。
その姿はデネソールに大きく映ったことであろう。
対して、ファラミアこそ統率する力はあるものの、兄ほどの勢いはなかった。
控えめでおとなしい、兄とは正反対の性格。
それがデネソールには響かなかった。
とはいえ、ファラミアの知見や賢明さには、兄とは違う人となりの良さがあるように思う。
それは、指輪を前にしたときの態度ではっきりと示された。
ボロミアは指輪棄却の旅の仲間になりながらも、指輪の力を密かに狙っていた。
最後にはそれが過ちであったと後悔したものの、彼に待っていたのはオークの大群による死であり、結局フロドに謝罪する機会は失われた。
一方、ファラミアも決して指輪を認識していなかったわけではない。
彼はフロド達を尋問した際に、確かに指輪の存在を認めた。
だが、彼はその危険性を正しく理解しており、目に触れることもしなかった。
そして、フロド達に運命を託し、彼らを解放したのだ。
それがデネソールにとっては気にくわない事だったとしても、ファラミアの行動は、少なくとも指輪の棄却を促す素晴らしい行為だったと私は思う。
仮に彼がデネソールの思惑通り、ゴンドールに指輪をもたらしていたとしたら。
一時的な国の発展に寄与できたとしても、その後にあるのはサウロンの永劫的な支配。
中つ国はますます闇にとらわれ、後の時代に待っている恒久的な平和さえ訪れなかったに違いない。
ファラミアの賢明なる判断が、一つの運命を動かした。
だとすれば、彼とて日陰の者ではなく、英雄の一人として数えられる重要な人物なのだ。
華々しい武勇だけが英雄をつくるわけではない。
誰にも気づかれない場所で、自らの信念を貫いた者もまた、物語を支えていたのだと私は思う。

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