影に隠れた英雄② 自らの良心を貫いた者

賢明なるファラミア ひとりごと

エオメルは武勇に長けた、物語の重要人物だった。

だが、彼以外にも、隣にいる者の威光が強すぎるあまり、存在を忘れがちな者がいる。

彼の名はファラミア。

後にイシリアンの領主となり、ゴンドールの平和を支える者となる。

しかし、彼は父デネソールにあまり期待されていなかった。

父がその愛情を注ぎ、後の後継者として目をかけていたのは、ファラミアの兄ボロミアだった。

ボロミアはその勇猛果敢な性格で敵を圧倒し、ゴンドールの平穏を守っていた。

その姿はデネソールに大きく映ったことであろう。

対して、ファラミアこそ統率する力はあるものの、兄ほどの勢いはなかった。

控えめでおとなしい、兄とは正反対の性格。

それがデネソールには響かなかった。

とはいえ、ファラミアの知見や賢明さには、兄とは違う人となりの良さがあるように思う。

それは、指輪を前にしたときの態度ではっきりと示された。

ボロミアは指輪棄却の旅の仲間になりながらも、指輪の力を密かに狙っていた。

最後にはそれが過ちであったと後悔したものの、彼に待っていたのはオークの大群による死であり、結局フロドに謝罪する機会は失われた。

一方、ファラミアも決して指輪を認識していなかったわけではない。

彼はフロド達を尋問した際に、確かに指輪の存在を認めた。

だが、彼はその危険性を正しく理解しており、目に触れることもしなかった。

そして、フロド達に運命を託し、彼らを解放したのだ。

それがデネソールにとっては気にくわない事だったとしても、ファラミアの行動は、少なくとも指輪の棄却を促す素晴らしい行為だったと私は思う。

仮に彼がデネソールの思惑通り、ゴンドールに指輪をもたらしていたとしたら。

一時的な国の発展に寄与できたとしても、その後にあるのはサウロンの永劫的な支配。

中つ国はますます闇にとらわれ、後の時代に待っている恒久的な平和さえ訪れなかったに違いない。

ファラミアの賢明なる判断が、一つの運命を動かした。

だとすれば、彼とて日陰の者ではなく、英雄の一人として数えられる重要な人物なのだ。

華々しい武勇だけが英雄をつくるわけではない。

誰にも気づかれない場所で、自らの信念を貫いた者もまた、物語を支えていたのだと私は思う。

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